奇跡をあなたに
マイクで話している先生の声すら聞こえないくらいうるさい周り。
「幸!前行くぞ!」
望が私の手を掴み、先生の前へ言った。
「え―渡辺奈々がビルから転落したのは事故かもしれない。」
事故!?
私と望は耳を疑った。
わざわざビルの屋上に言って、事故をする人がいるの!?
先生はいじめがあった事を隠そうとしていると思った。
「今、渡辺奈々は病院にいるが、昨日ビルから転落した事で亡くなった。この事は周りに言いふらさないように!以上だ!生徒は教室に帰りなさい。」
!?!
はぁ?
以上!?
奈々が亡くなった....?
そんな...そんな簡単な言葉で終わらせるの?
私と望はこの現状を受けとめる事ができなくてただ立ち尽くしていた。
周りの生徒は出口の方へ向かって帰る。
「あの子亡くなったんだ―」
「よく聞こえなかった―どうなったの?」
「そりゃビルから落ちれば即死じゃん?」
「やっと帰れる――」
――――ッ
私は怒りが込み上げてきた。