奇跡をあなたに

少したって、奈々のおばあさんが話かけてきてくれた。


｢幸さん？ありがとうね。奈々のためにそんなに泣いてくれて....。｣


おばあさんは私にそう言ってくれた。


私はおばあさんに言った。


｢おばあさん、私は―――ｸﾞｽｯ私は奈々の事大好きだったんです。なのになんも気付いてあげれなくて....。｣



｢幸さんだけじゃないよ？私も気づいてあげれなかった。あの子は親が亡くなった日からほとんど私の前で泣く所を見せた事がないんだよ。
辛いだなんて口にするような子じゃなくてね...いつも笑顔じゃった。｣


おばあさんはそう言ってとても辛そうな顔をして私に笑いかけてくれた。


おばあさんが何よりも辛いはず...小さい頃からおばあさんが奈々をずっと育ててきたんだから...


なのにおばあさんは私に笑いかけてくれた。


今でも泣き崩れそうな目で....


奈々は強かったんだ。


私なんか全然強くなんてない。


本当の強さを持っていたのは奈々だった。


こんな優しくて暖かいおばあさんに育ててもらったから、奈々はこんなにもいい子に育ったんだね...