奇跡をあなたに


私は奈々がなんでビルから転落したのかずっと気になっていた。



「おばあさん?なんで奈々はビルから転落したの....?」



「それが分からないの...遺書はなかったんだけど、靴は綺麗に揃えとあったらしいわ...。でも、奈々はきっと自分で決めたんだと思うの...」


おばあさんはそう私に言った。



「なんでそう思うんですか?」



「....あの子毎日制服を来て家を出てたんだけど...先生からよく連絡がきてたの...学校に来てないって。でもあの子は毎日私が“いってらっしゃい”って言ったら、笑顔を見せながら“いってきます”って言ってたの。」


おばあさんはそう言った...

でも昨日は違ったらしい。


「行ってらっしゃい」

そうおばあさんが言ったら奈々はこう言った。


「おばあちゃん?いつもありがとう。その言葉が聞けて本当に私幸せだよ―!いつもいつもありがとう!あとごめんね...迷惑ばかりかけて...おばあちゃん大好きだよ―じゃ行ってきます!」


そう奈々は笑顔で玄関を出た。


それが奈々とおばあさんが話した最後の会話だった。




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