奇跡をあなたに
ずっと黙っていた望がおばあさんに話した。
「なぁ―ばあ―ちゃん。奈々がビルから落ちたとこってどこなん?」
「うちの家の近くなんだよ。
行ったらすぐ分かると思うけど、古いビルなんだけど行ってみる?」
私と望はただ頷いた。
行きたいとは思わないけど、奈々の命が亡くなった場所だから...どんな思いでそのビルに行ったのか...知りたかった。
もちろん、奈々の気持ちは私逹には分かる事はできない。
どんなに辛くて1人で悩んでいたか...
そんな簡単に分かるもんじゃない。
私と望は、おばあさんに連れられ、外に出た。
歩いて10分ぐらいたった頃....
「このビルだよ。」
そうおばあさんが教えてくれたビルはとても古くて、誰もいなそうな所だった。
そのビルは5階建てで外に階段があり屋上にいける。
私と望がその階段を上がろうとした時...
「私は家に帰るから...腰が悪くてもう上がれないの。」
そう言っておばあさんは1人家に帰っていった。