奇跡をあなたに


私はもう一度、屋上から下を見た。




...今ここから私が落ちれば死ぬんだ。


奈々と同じように...


私が望と出会う前。


ずっと死にたいと思ってた。


無視されて...自分の存在すらあるのか分からなかった私は、どうせなら本当に消えればいんだと思った。



消えたい。


この世界から...


私が死んだら誰が悲しみのか...


きっと誰も気付かないだろう。


それすら無視するんじゃないかって。


そう思った。


死にたい、死のう。


そう思うけど、死ねなかった。


死にたいだけでは死ねない。


死のうと思って死ねない。


怖いから...


この世界で生きるのも、この世界からいなくなる事も怖かった...



どちらとも怖くて...でも私は今生きてる。


今ここから飛び下りれば簡単にこの命はなくなるのに。


私には無理だった...死ぬなんて。


奈々にはできたんだよね...


それほどこの世の中は奈々にとっては暗かった?



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