奇跡をあなたに
私はまた座り奈々の日記を開いた。
そこには奈々の高校生活が書かれていた....
2002年 5月24日。
今日から日記を書く。
今の気持ちをこのノ―トだけに相談しよ。
高校に入学してもう一ヶ月が過ぎた、でも全然楽しくない。皆私を無視する。
辛くてしょうがない。ば―ちゃんには言わないようにしよ、心配かけたくないから...
6月10日。
もう死にたい。
私は毎日近くのビルの屋上にいく。
死ぬために...
でも怖くと死ねない。私は臆病なのかな?
友達がほしい。
7月2日。
今日、クラスの子に「死ね」って言われた。
辛かった。
死にたくないのに。
奈々の日記は、いじめの事ばかりだった。
私と望と出会う前から奈々は苦しんでいた。
誰にも相談せず...ただ一冊のノ―トが奈々の見方だった。
だんだんエスカレートするいじめが毎日書かれていた。
でも、いじめた人の名前は一切書かれていない。
女子か男子。
ただそれだけ。
辛い事ばかり書いてあった奈々の日記には、人を馬鹿にするような言葉すらならかった。
ただ自分の事だけ書かれていた。
いじめた人の悪口も一切書かれていなかった。