奇跡をあなたに


私はまた座り奈々の日記を開いた。



そこには奈々の高校生活が書かれていた....



2002年 5月24日。


今日から日記を書く。
今の気持ちをこのノ―トだけに相談しよ。
高校に入学してもう一ヶ月が過ぎた、でも全然楽しくない。皆私を無視する。
辛くてしょうがない。ば―ちゃんには言わないようにしよ、心配かけたくないから...



6月10日。



もう死にたい。
私は毎日近くのビルの屋上にいく。
死ぬために...
でも怖くと死ねない。私は臆病なのかな?


友達がほしい。



7月2日。



今日、クラスの子に「死ね」って言われた。
辛かった。
死にたくないのに。



奈々の日記は、いじめの事ばかりだった。


私と望と出会う前から奈々は苦しんでいた。



誰にも相談せず...ただ一冊のノ―トが奈々の見方だった。


だんだんエスカレートするいじめが毎日書かれていた。


でも、いじめた人の名前は一切書かれていない。


女子か男子。

ただそれだけ。


辛い事ばかり書いてあった奈々の日記には、人を馬鹿にするような言葉すらならかった。


ただ自分の事だけ書かれていた。


いじめた人の悪口も一切書かれていなかった。



< 215 / 370 >

この作品をシェア

pagetop