奇跡をあなたに


もう、夜の11時をまわっていた。



やっぱり...


やっぱり、ほっとけない。


私は家を飛びだした。


「望!!」


「幸?起きたのか?」


いつもと変わらない望。



「うん...いないからびっくりしちゃって(笑)」


私は思わず嘘ついてしまった。


「そっか。幸、気持ちよさそうに寝てたからな(笑)」


「....望?今さっ....」


「ん?」


「ううん。なんでもない。気をつけて帰ってね」


「おぅ。ありがとうな!幸も早く寝ろよ~おやすみ!」


「うん!おやすみ~」


そう言って望は帰っていった。


そんな後ろ姿が遠くなるたび、望の後ろ姿が消えていく...



不安になった。


このまま会えなくなるじゃないかなって思ってしまう。


最近、望がいなくなるんじゃないかなって思う。


だから、望が少しでも離れると不安になるんだ...



もう、誰も失いたくないよ。




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