奇跡をあなたに
望は私が抱き締めている手をとり自分から離した。
「幸...側に入れなくて...ごめんな。こんな俺で...」
望はそう言って私に背を向けた。
「なんで?なんで側にいれないの?」
望は私の頭を軽く撫でて笑顔を見せてくれた。
でも...望は私の問いに答えないまま歩いていった。
「やだょ..グスッ望...行かないで...グスッ...望!!!」
私は泣いた。
ひたすら泣いた。
でも、追いかけれなかった。
望の背中を見ると..追いかけてはいけない気がした。
でも、本当は追いかけたかった。
追いかけて“好きだよ”って言いたかった。
私は雨の中しゃがみこんだ。
「望....」
雨と涙のせいで望がもうはっきり見えない。
でも...望がだんだん遠くなるのは分かった。
「....望...グスッ行かないで...ょ。側にいて...の..ぞ..むぅ―――――――――ッ」
望は私の前から姿を消した。
望....離れていかないで....。