奇跡をあなたに


「...市川くんが学校をこなくなる二日前、私の所へ来たの...私しか頼れないからって。
市川くんは“幸を頼む”って...
“俺がいなくなったら幸は1人になるから...先生が側にいてやってくれ”って...。」



望が...?

なんで...そんな事言うの?


「望は、なんで急に学校へこなくなったんですか?」



先生は下を向いて言った。


「ごめんなさい...それは言えないの。」


「なんで!?」


「市川くんと約束しからよ...」


「約束?」


「そぉよ...“言わないでくれ”って...」

「先生...私はどうしたらいいの?そんな事言われたら、望をほっとけないよ...。」


「...幸さん。市川くんは...私から言うより自分の口で言いたいと思うの...だから私は言えないの。」


「でも!その望がどこにいるか分かんないのに...どうすればいいの?」


先生は静かに席を立って言った。


「今日の放課後また保健室に来てくれる?」


...?


「なんで?」


「いいから..」


コク


私は素直に頷いた。

< 286 / 370 >

この作品をシェア

pagetop