奇跡をあなたに


私は望を抱き締めた。


「幸――ッ俺、こえ―ょ。」


望は泣きながら言った。


望...。


「望?大丈夫だから!!」


私は正直なんて言ったらいいか分からなかった。


「幸―――ッ俺から離れないでくれ...」


「当たり前でしょ!!」


「よかっ―――たぁ――!」



望はそう言って涙を拭き、私に笑顔を見せた。



その笑顔を見ると、少し安心した。


「幸、もう帰っていいぞ?」


「大丈夫?」


「あぁ、もう暗いから帰ったほうがいいからな―」


「望?」


「ん?」


「私には望の本当の姿みせて?」


「...ありがとな。」


私はそう言って帰った。



望はきっとすごい怖いんだろう。



いつ死ぬか...


私も怖いよ。


望がいつ私の前からいなくなるのか...


もちろん、信じてる。


まだまだ何年も生きるって。


これからもずっと一緒にいたい。


それが今の私の願い。




< 306 / 370 >

この作品をシェア

pagetop