奇跡をあなたに


おじいさんとの出会いは、私の心に暖かいものを教えてくれた。

「お嬢さん学校は楽しいかい?」


「別に...。」


「そうか。わしは学校へ行った事がないんだ。」


「....。」


なんで?って聞きたかったけど聞けなかった。


でも、おじいさんは自分から話してくれた。


「わしの小さい頃は戦争があったんだよ。学校に行って勉強したかったんだけどな。」


「...おじいさんは友達いたの?」


「いたよ。でも、皆死んでしまったよ。」


そのおじいさんの悲しい顔を見ると私は言葉を失った。


「お嬢さんは友達いるのか?」


私は首を振った。


「そっか。」


「私...1人ぼっちなんだ~。」


「どうしてだい?」


「私は親にも好かれてないし、友達もいないの。」


おじいさんは黙って私の話を聞いてくれた。

いじめられている事も親に暴力振るわれる事も。

なぜか今日会ったばかりのおじいさんに話した。


すべてを聞いたおじいさんは、私に優しくて話しかけてくれた。



< 32 / 370 >

この作品をシェア

pagetop