奇跡をあなたに
私は、河原へ行った。
望といた場所。
奈々といた場所。
私の場所。
ここが、やっぱり落ち着く。
肌寒い季節だけど、吐く白い息が生きている事を証明してくれた。
正直辛かった。
息がつまりそうだった。
奈々の死を乗り越えたと思ったら...
望がエイズだと知って...
どうしたらいいのか...
私には、何ができるのか...
分からなかったんだ。
どこかで、望を失うんじゃないかって...
そう思う自分がいる事が最低だと思った...
自分だけが、辛いんじゃないのに...
病気にかかっている望が、何よりも辛いはずなのに...
私は、今にも溢れそうな涙を拭き取り、空を見た。
空だけは、何も変わらない。
青くて、白い雲があって、眩しいくらいに照らす太陽がある。
だから...
私は頑張るよ。
けして変わらない、望に対する気持ちを持ち続けて。