奇跡をあなたに
「今日からお嬢さんは1人じゃないぞ?わしがおる。寂しい時も辛い時もわしが話し相手になるからいつでもきなさい。わしもその方が嬉しいからな。」
その言葉は、私にとって何よりも救いだった。
話し相手もいない私には、おじいさんの存在がとても大きなものへと変わっていった。
その日から毎日、おじいさんに会いに行った。
くだらない事や辛い事を全部話した。
おじいさんはいつも笑顔で話を聞いてくれた。
そんな日が冬まで続き、おじいさんの病室で話すようになった。
おじいさんは体が悪いのか、具合が悪そうだったけど、毎日帰る時になれば“また明日なッお嬢さん。”そう言って私を毎日見送ってくれた。
家にいるより、学校へいるより、このおじいさんがいる病室が何よりも落ち着いた。
おじいさんと出会って河原へ行く事もなくなった。
辛い時も悲しい時もやっぱり話を聞いてくれる人がいるだけで楽になる。
でも、そんな日も突然失った。