奇跡をあなたに


私が教室に帰ると、望はいた。


きっと何もしらないんだと思う。


「幸、どこ行ってたんだよ―」


「私もトイレ(笑)」


「そっか―(笑)」


望は本当によく笑う。


何度その笑顔に助けられただろう。


香苗を見ると、香苗は私を見て笑ってくれた。


だから私も笑い返した。


正直、昔の事は許せない。


でも、もう終わった事...


過去の事。



香苗もそれほど望が好きなんだから。


今でも好きだって言ってた。


だから、私も負けないように望の側にいようと思った。


香苗が、喧嘩を止めてくれたおかげで、望は何も知らないですんだ。


香苗に初めて感謝した。


私だけだったら、きっともう止まらなかったから...



望と出逢って、沢山の事を知った。


友情。


恋。


沢山の思いや考え。

悩む事も、辛い事も、寂しい事も、嬉しい事も沢山あったけど、それは望と出逢えたから知れた事だから...



なにも知らない私に望は“心”をくれた。


感情も、気持ちも。


望が教えてくれた。


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