奇跡をあなたに

“さよなら”なんて言えない



望と一緒に学校へ行くようになり、一ヶ月が過ぎた。



望は体調もいいみたいだった。


私達は相変わらず、いつも一緒にいた。

河原にも毎日行った。


そんなある日。


「なぁ―幸、俺....」

「ん?何?」


「俺さぁ――――ッ」


「ん?」


「なんでもね―や(笑)」


「はぁ?(笑)」


「....俺が幸の前からいなくなったら幸どうする?」


「えッ?」


「どうする?」


「そんな事言わないでよ!!」


「そうだけど...」


「不死身なんでしょ!?奇跡おこすんでしょ!?」


「....そうだったな(笑)」


望はそう言って私にいつもの笑顔を見してくれた。


でも、その笑顔はどこか辛そうに見えたんだ。


治らない病気と戦って...


いつ死ぬか分からない。


奇跡を信じたいけど...やっぱり不安で怖くて。


そんな望の気持ち...私は分かってなかったよね...。


簡単に分かるもんじゃないよね。


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