奇跡をあなたに
学校が終わり、いつものように病室に行くと、そこにはおじいさんはいなかった。
そこは空き部屋になってた。
私は不思議に思い看護婦さんに聞いてみた。
「あの、504号室に入院してたおじいさんどこに行きましたか?」
「504号室のおじいさんなら昨日の夜お亡くなりになりましたよ。」
えッ亡くなった?
私は言葉を失った。
昨日まで元気だったおじいさんが、今日はもういないんだから。
その時看護婦さんが私に言った。
「あなた、毎日西田さんに会いに来てくれてた子よね?」
「西田?」
「おじいさんの名前よ。」
おじいさんの名前か。私は何ヵ月も一緒にいたのにおじいさんの名前すら知らなかった。
「はい。そうです。」
「これ、西田さんからあなた宛てへ手紙よ。呼んであげてね。」
私はその手紙を看護婦さんから受け取り頷いた。
おじいさんが私に書いてくれた手紙。
私はその手紙を持ち、久しぶりに河原へ言った。
おじいさんがいなくなった今。
落ち着く場所はまたこの河原しかなくなったら。