奇跡をあなたに
私は太陽の温もりでつい寝てしまった。
私は夢を見た。
目の前には望が立っていた。
望は笑っていた。
“望?”
望に声をかけてみると、望は何かを言っていた。
小さい声でよく聞こえない。
“聞こえないよ望。”
私は必死にその声を聞いた。
微かに聞こえる望の声。
“幸....俺、幸せだった...幸と出逢えて、幸を好きになって。
俺は幸に会うために生まれてきたかもな。
俺は幸の前からもういなくなるけど、いつも幸の心ん中にいるからな。
俺の分まで生きろよ。幸せになってな...結婚して子供何人も産んで、幸せな家庭つくってな。
ずっと幸の幸せだけを願ってるから...
じゃあ俺、そろそろ行くな。
ごめんな...ずっと側にいてやれなくて...。”
望はそう言って私からだんだん離れて行く。
でも、望は悲しそうでも辛そうでもない顔だった。
笑顔だった。
“望...いかないで..望...”
私は望にそう言った。
でも望の姿はだんだん見えなくなり、消えた。