奇跡をあなたに


私は望が消えた瞬間、目が覚めた。


私は涙を流していた。


もう空は暗くなりはじめている。


肌寒い風を浴びながら私は横を見た。



望はまだ寝ている。

夢の中で見た顔を同じように、幸せそうに笑っていた。



私はそんな望の顔を見て、少し安心した。


でも....


そんな安心したのもつかの間だった。



横にいた望を私を起こそうとした。



「望―起きて?風邪ひくよ?」


望は起きない。


私は体をゆらしてみた。


「望?」


私は望の手を触った。


.....冷たい。



ずっと外にいたからかな?



「望...?起きて...」


私の鼓動はだんだん早くなる。


「望...。」


体を何回もゆらした。


起きない。


顔を触ってみた。


冷えただけとは思えないくらい冷たい。

私は望の心臓に耳をあてた。



何も聞こえない。



私は呆然とした。


ここにいる望はもう何も話さない。


私を見ることも、私に触れる事も...



人の死はこんなにも呆気ないものなの?

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