奇跡をあなたに


私は望のお母さんに電話をした。



「もしもし、幸ちゃん?」


「望が....」


「望が何?」


「.....。」


「今どこにいるの?」

「...河原..」


「すぐ行くから!」


プチッ


電話を切ると、私の望の横に寝転んだ。


「ねぇ望、起きてもう一回好きって言って?やっと両思いになれたんだよ?」


私は望の死がまるで夢なんじゃないかって思った。



何も話さない望に私は話し続けた。


「望は不死身でしょ?なら生きてるよね?冗談やめてよ。
私泣いてるよ?いつものように拭いてくれないの?」


そう望に話していると...



ピ―ポ―ピ―ポ―


救急車と望のお母さんが来た。


「幸ちゃん!?大丈夫!?」


「望が....」


望のお母さんは望を見ると、望をおこし抱き締めた。


「望、よく頑張ったね。」


お母さんと望は救急車に乗った。


「幸ちゃん!?乗りなさい!」


望のお母さんが私にそう言った。


私は首をふった。


望から背を向けしゃがみこんだ。


救急車は走り病院に向かった。


救急車のサイレンだけが聞こえた。



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