奇跡をあなたに


指輪だ。


「これ....」


「望のなの。」


「なんで?」


香苗は話し始めた。

「あの冬...香苗と望が付き合ってた時、本当は無理矢理望は私と付き合ってたの。香苗があんたをいじめてたから...あんたに何するか分からないって言ったら、望は香苗と付き合う条件であんたを守ったの...。」


知らなかった。

もっと早く知りたかった。


「なんで...指輪...」

「クリスマスの日、望が指にはめてたの...すぐ分かった。絶対あんたとなんか繋がりがあるって...だから私は望から指輪を取り上げたの。ごめんね...今頃渡して。」


この指輪はクリスマスの日に玄関の所にぶら下がっていた指輪と同じ...


あれは望がくれたの?


あの後ろ姿は望だったんだ。


私が指輪ほしいって言ったから...なんで気付かなかったんだろう。


私は香苗から指輪を貰い握りしめた。


涙が止まらないくらい出る。


辛いのは私なんじゃない。


望なんだ。


側にいた私だけが苦しんじゃない。


香苗も望が好きだった。


きっと同じように苦しいはず。



自分だけがなんて考える私は、どれだけ最低か...。



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