奇跡をあなたに


私は家に帰り、引き出しにしまっていた指輪を取り出した。


望が私にくれた、たった1つのプレゼント。


私は指にはめ、望の指輪をネックレスにして首につけた。


この指輪が、私と望が一緒にいた証だった。



私は家を出て、河原に行った。


1人でいる河原はとても寂しい。


私の大切な人はなんでいなくなるのかな....



なんで...私だけ生きてるのかな。


喉がつまったように息苦しい。


辛い。


1人ぼっちわ...



これからどうしたらいんだろう。


どう生きていけばいいのかな...


お母さんも奈々も望もいない。


何を目指して生きたらいい?


誰か教えて...


誰か答えて...


今にも泣きそうな目をこらえて私は空を見た。


今日は雲1つない空だった。


私の目からは、何粒もの涙が流れた。


止める事はできなかった。


だって....この涙は望を思う涙だから。


大切な人を亡くす涙だから...


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