奇跡をあなたに



私は望のお母さんに連れられて、望の実家に行った。


家に入ると、望の妹さんが出迎えてくれた。


「幸さん、久しぶりです。上がって~」


「あッお邪魔します。」


部屋に入ると、望の写真が飾られていた。


私は仏壇の前に座った。



ずっと避けてた。


現実から...



今現実から避けると、ずっと現実を認められない気がした。


だから、私はここに来た。



お線香をあげ、手をあわせた。



望がもういないんだって...実感した。



やっぱ、辛い。


苦しい。


涙がでてくる。


でも、望の前では泣かない。


望が心配するから...


いつか望にまた会えた時、“頑張って生きたんだよ”って言いたいから。



“強くなったんだよ”って言いたい。



だから、泣くときは1人で泣くと決めた。




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