奇跡をあなたに
「望は...亡くなりました。」
「えッ?」
「望は小学生の時、HIVに感染して...一ヶ月前に急変して...」
「...どうして、大事な人は亡くなるのかしらね...」
「そうですよね...」
「奈々も望くんも...いい子なのに。」
「.....。」
私は何も言えなかった。
どう言えばいいのか分からなかった。
話すと、涙がでそうで。
少し沈黙して、おばあさんが口を開いた。
「...幸さんは生きるのよ。」
「えッ?」
「あなたまで、いなくならないでね...」
おばあさんは私を見て泣いた。
「私はいなくなりませんよ。」
「奈々と望くんの分まで生きるのよ。」
「はい。この命、無駄にはしません。」
「時々、ここに来てくれるかしら?」
「いんですか?」
「あなたは私の孫みたいな存在だから。あなたの成長をこれからも見ていきたいわ。」
「...本当にありがとうございます...グスッ。」
私は思わずこらえていた涙が溢れでてしまった。