奇跡をあなたに


そして何日か過ぎた日。


母から話を切り出した。


「部屋ッ探しといたから。あとこれで暮らしていきな。」


机の上に置かれていたのは、300万円だった。


「ありがとう。」


母はそれだけ言ってあとは何も言わなかった。


私は、なんとか受験にも成功し、引っ越す準備をした。

明日は引っ越す日。
部屋を片付けていると珍しく母がきた。

「片付いたの?」


「まだ...もう少し。」


「そぉ。」


「うん。」


「...私と離れてあんたも嬉しいでしょ?」


「それは母さんでしょ?」


「ッ.....。」


母は何か言いたそうだったけど、言わずに部屋から出ていった。


次の日。

家を出る時間には母は寝ていた。

だから私は1人部屋を出た。


“母さん、さよなら。”
そぉ一言だけ言って...

それが母との最後の日だった。


< 42 / 370 >

この作品をシェア

pagetop