奇跡をあなたに
望は雨の中歩いていた。


「望!?ビショビショじゃん。」


「あ~走るから大丈夫(笑)」


「傘持ってくるから。」


「いいよ~てかわざわざそのために幸も濡れてんじゃん。早く家に入りな」

「違うの...」


「ん?」


「簡単に泊めるなんて言ったんじゃないもん。」


「わかったから早く入れよ」


「分かってない...望だから手料理作ったの!望だから泊めてもいいと思ったの。」


「幸!それ以上はいいから。早く家に入れ...」


「えッ」


「じゃあな」


望はとても悲しそうな目をして走って帰って行った。


私は望に何を言うつもりだったのか。


その時、私は気付いた。


望は友達でもなく、親友でもなく...1人の男として好きなんだと。


でも、望は私に“それ以上はいいから”と言った。


望はきっと友達にしか見れないんだと思った。


そう思うと、胸が張り裂けそうな思いになった。

私は雨の中しゃがみこんだ。


ただ呆然と..
この気持ちをどうしたらいいのか分からずにいた...

その日は風呂に入り寝るしかなかった。
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