奇跡をあなたに
私はその日の事を思い出しながら教室に戻った。


そこには教室を出た時と何も変わらない風景だった。


つまらない学校。


なんで高校に通っているのか分からない。


数学なんて、意味あんの?

+ と-と ×と ÷が使えれば生きていけるんじゃないの?

なんでここまでして学校に通ってるんだろ。

何を学んでいるのか。

高校に入ってから毎日考えていた。

でも前と今が違うのは“望”の存在だった。

私から離れてもいい、話さなくてもいい、嫌いになってもいい。


でも1年以上一緒にいた私を忘れないでほしい。


頭の片隅でもいいから...


何年に一回でもいいから...


思い出してほしい。

“幸”という1人の友達がいた事を。

そう私は望に言いたかった。
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