奇跡をあなたに
私は母のバックの中身を出した。


水商売で働いていたとは思えないくらい中身は少なかった。

財布と化粧品と携帯。

あとは通帳と小物が少し。



中身を探っているとバックの隅に入っている白い封筒を見つけた。


そこには“幸へ”と書かれている。


??

私?


その白い封筒の裏を見ると、“母より”と書かれていた。


母さんから、私に?
私はその封筒を開けずに、少し悩んだ。


開けたら後悔しそうで...

怖かった。


後悔しても、母はもういない。


あの怖かった母の思い出だけでいいと思った。


< 87 / 370 >

この作品をシェア

pagetop