奇跡をあなたに
私はもう一度母のいる病院に行き、母の姿を確認した。


ベットに寝ている母。


もしかしたら目が開くんじゃないかと思ったから、ずっと母を見ていた。


ずっと涙を流しながら...


時間がたつたびに母の死を再確認した。

手紙で感じた母の温もりも、目の前にいる母からは感じなかった。


たった1人の家族を無くした私だけど、たった1人の家族の大切さが分かった。

母は自分が死ぬ事を分かってたみたいだった。


火葬のお金も自分の墓もすべてもう用意していた。


私に迷惑がかからないように...

母は一年前からすべて自分1人でやっていた。


どんなに悲しかっただろうか..自分で自分が入る墓を立てるなんて...


癌だと知っていながら働き続けた母はどれだけ辛かったのか...


< 93 / 370 >

この作品をシェア

pagetop