奇跡をあなたに
そう言って、私は母の私物だったバックを一緒においた。


その時。


バサッ

バックの中身はこぼれた。


チャックあけたままだったんだ~


そう思いながら拾っていると、一枚の写真が出てきた。


そこには...母と赤ちゃんが写ってた。


母はまだ若くて、とても綺麗で、その写真の母の顔は初めて見る母の笑顔だった。


その写真の裏を見ると、『1987年,2月25日 幸誕生,』
と書かれていた。


その写真は私と母の写真だった。


それが母と私が写った,たった一枚の写真。


私はその写真を写真立てに入れ母の側においた。


母は毎日私の写真を持ち歩いていてくれていた。


私はその気持ちだけで、もう充分だった。

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