王子様の、花嫁探し。




「はいっ...えっ?」


ドアを開けたら、

いきなり人に掴まれて、

胸の中に押し込まれた。




「栖羽ちゃん....」


かっちゃんだ...。




かっちゃんはあたしをゆっくり離し、
あたしの頬を指でなぞった。



「...目、腫れてる....」


心配そうな顔で、

あたしを見るかっちゃん。




「...かっちゃん..」


「昨日は、大変だったね」


「....。」


「...相当、泣いたんだね」


悲しそうな表情をするかっちゃん。



「....かっちゃん..」


「おいで」


「え?」


「靴履いて。
 一緒に行って欲しいところがあるんだ」


かっちゃんはあたしを離した。


あたしは靴をはいて、
アパートを出た。





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