月は昼に恋を、する。

「あ はい たぶん 大丈夫…………あ ……れ？」
頭が クラクラする なんで？
「小陽ちゃん もう少しで 家に着くから 寝てた方がいいね
大丈夫だよ」
優しく言う 彼の声は 小陽の耳には 余り入らず
静かに 瞼を下ろした




妃宮 小陽は眠りについた 俺の頭に寄りかかって
「お休みになられましたね 小陽様 よほど 怖かったんでしょう」
運転手の守村（かみむら）が 慰めるように言う
「そうだね 良かった 小陽ちゃんが 怪我しないで
させたら
父上から 怒られるだろうね」
「薙真（なぎま）様も お怪我は 無いようですね」
何を言っているのだろうか
「守村 俺のこと なんだと 思ってるの？分かってるよね

………篠夜家の秘密」
そう 俺が言うと慌てる様子もなく 守村は苦笑いして
はい と返事をした

「ねぇ 守村 小陽ちゃんは いつ 気付くかな




……秘密に」