月は昼に恋を、する。
「ん お願い」
一言言うと 琉実はキッチンにパタパタと足音をさせ 行った
「兄さん 珍しい 外に行くなんて」
ソファに身を沈める
もともと 陽の光に 弱い生き物
自分から昼の世界には 踏み込むなんてことは 少ない
煌季や薙真だって 変わらない
「ふう…………あれ」

今 寝息が聞こえたような
しかし 間違いではなかった

満月が座るソファのもう一つに
何かが 眠っていた

いや 何かがではなく それは 人間
人間の少女が横になり 眠っていた

すぅ……すぅ

………………………だれ?
兄さんの餌なのか いや どう見ても 若すぎる 高校生ぐらいだ

満月は 兄達の 餌を チラッと見たことがある
彼らは 皆 首筋に息が掛かると 怖がる事もなく 受け入れる
しかし 愛してるとか 好きだという感情から していない
ただ されたいのだ
彼らの表情は
あの時が 一番 妖しくて 美しい

ああいうのを 色気というんだろう

目の前の少女には そんなもの 一つもない
金に近い色素の薄い髪や
ピンク色の唇は とても 美しい

決して 妖艶ではない
今まで 見たこと無い種類

いや 一人いた 太陽みたいな少女が
正確な名前も知らない キレイな少女

「んっ んぅ? んー」
少女が寝返りを打つと 体が傾き

ずる
「ーっつ」
なんとか 少女が 床に落ちるのを 防げた「ソファで 寝てたら 絶対 落ちる
客間に寝かせよう」
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