晴れのち雨ときどき曇り
雨と雨男
プロローグ
私の夢では、いつも雨が降っている。
今夜は小雨。
細く切れ切れの水の糸が灰色の空から垂れている。
でも、ある日、私の夢に変わった出来事が起きた。
「晴子(はるこ)、ちゃん?」
私の夢での初めての記念すべき登場人物は、同じクラスの雨谷空(あまがいそら)だった。
そのクラスメイトは、皆から雨男と呼ばれていた。
理由は単純で雨谷空が俗に言う、雨男だからだ。
外見はどちらかと言うと爽やかさを感じる顔立ちで、サラサラの髪は女の私から見ても羨ましいくらいだった。
私は何故だか雨谷空と言う男の子が苦手だった。
何故なら、雨谷空はその雨男っぷりとは逆に、底抜けに明るくてクラスの人気者だからだ。
「やっぱり、晴子ちゃんだ」
さながら太陽の様ににこにこしながら、此方に向かってくる雨男。
冗談じゃない。
私は、今すぐ目が覚めますように、と必死に願った。