晴れのち雨ときどき曇り
「うぅん。何でもない……。別に、どう呼んでもいいから」
「でも、名前で呼ばれるの、あんまり好きじゃないって……」
それは、夢の中でしか言ってない筈なのに。
「……俺、何か変なこと言った?」
「いいから、傘!返すね」
「あ、あぁ。忘れてた」
「じゃあ、私、受付しないといけないし」
私は急いでドアを開け、雨谷君の顔も見ずに図書室の中に入る。
「ちょっ、晴子ちゃん!本、返却したいんだけど……」
「……」
「また借りていい?」
「……私に聞かなくても、図書室の本は借りていいことになってるから」
やっぱり、夢みたいには上手くいかない。
私は溜め息を吐いて、図書室の受付席に座った。