晴れのち雨ときどき曇り

 俺は、断じてそんな下心が無かった、と言えば嘘になる。

 彼女もそうなのではないのか?

 俺は、垣本に渡して欲しいと言われたストラップを眺める。


(直接渡せないから、とか。)


 垣本は悪い奴じゃない。

 ちょっと調子が良すぎな面があるが、物事や人の本質をよく捉えている節がある。

 だから、きっと、彼女の良いところも受け止めるだろうと思う。


 胸がザワザワする。


 手にしたストラップから、その感覚は生まれているような気がした。


 俺は、それを直ぐに手放したかったけれど、それが彼女との繋がりのように思えて、少しやるせなくなった。

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