晴れのち雨ときどき曇り

 それから数日後。

 その日は、最悪だった。

 何故なら雲ひとつ無い見事な晴れだったからだ。

 木陰でも風が温い。

 熱いと言うだけで体力が奪われていく感じがする。

「よーへい君」

 あぁ、脳まで茹(うだ)る気の抜けた声だ。


(しかも、勝手に名前を馴れ馴れしく呼ぶな…。)


 俺は心の中で悪態を吐く。

 俺の前には、媚びるようにして此方を見る目をした女の子が立っていた。

「…なに」

 俺は出来るだけ不機嫌そうに言う。

「サボり?」

「…まぁ、そんなトコ」

 遠くを見ながら、もう関わって欲しくないといった風に言った。
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