晴れのち雨ときどき曇り
「よっ。色男」
上から、脳天気な声が聞こえて俺は頭を上げた。
「…助けろ、出歯亀」
「俺は覗きじゃないもーん。盗み聞きだもーん」
垣本は、おどけて言った。
「…疲れる、マジで」
俺は、ふぅ…、と長い長い溜め息を吐いた。
「ん?アレ、星野じゃねぇ?」
その名前を聞いて、俺は、がばっと半身を起こした。
「日向クン、可愛い〜」
今直ぐに、目の前の人物を一発殴りたかった。
勿論、彼女の姿はない。
「…ーッ」
立ち上がって、垣本を見る。
「おー、コワ」
俺は、血管中の血に鉛が入ったように動けない。
「日向君…!」