晴れのち雨ときどき曇り
私にとって、気まずい時間が流れていた。
どうして、こんな時に限って図書室に来る人が少ないのだろうか……。
やっと人が来たと思えば、本の返却だけで帰って行く。
「雨宿りは、好転の前兆だって」
雨谷君は思い出したように呟く。
「……知ってる」
「傘は保護の象徴で、屋根は、自尊心?あぁ、それと青色は……」
「何が言いたいの?」
「……えぇと、もしかしたら同じ夢、見てる?」
雨谷は、晴子を顔色を伺うようにしておずおずと聞いた。
「……そんな事ある訳ない。有り得ないよ」
私は希望を込めて言った。
(そうだよ。)
(そんな事、有り得ない。)
「そうかな……」
雨谷が本に目を落とした時に、窓の外からザァ……っという音が聞こえた。
「……またぁ?」