晴れのち雨ときどき曇り

 急に、後ろから声がした。

 聞いたことがある声質。

 でも、そんなに慌てたような大きな声は初めてだ。

「…ごめんなさい。あの、様子が気になって…」

 今にも掴み掛るとでも思われただろうか。

 俺はまた失敗したようだった。


「…悪い」

 俺は、二人を置いて校舎の方に向かう。

「おーい、日向。何処行くの?」

「保健室」

 俺は、なるべく日が当たらないようにして歩く。

「日向君…」

 星野は、そんな俺の方に小走りで着いてきた。


「具合、悪い?一緒に保健室まで…」


 彼女の優しさは、本当に心からのものだと思う。
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