晴れのち雨ときどき曇り
そういう人間なのだろう。
誰にでも優しいのは、彼女の美徳だとさえ思う。
ただ、今の俺は彼女の親切を素直に受け止める自信が無かった。
「一人で行けるから」
斜め後ろで、彼女が足を止める気配がした。
俺は日の光に背を向けていた。
彼女の陰は次第に小さくなっていく。
自分から彼女を拒んでおいて、嫌われたくないと思うのは我が儘だろうか。
「…もう充分、嫌われてるか」
彼女は、きっと垣本を心配したんだろう。
俺が、怖い顔をしているから。
垣本を殴るとでも思って、止めに来たのかもしれない。
その夜は、日にあたり過ぎた体が悲鳴をあげる様に重だるかった。
挙げ句のはてに、俺は、熱を出してしまった。
(もう最悪だ。)
俺は、鞄に入れたままの携帯電話が煩く振動音を響かせるのを煩わしく思いつつ、もうどうでもいいと半ば自棄になって着信を無視した。