晴れのち雨ときどき曇り

2.太陽の秘密


(どうしよう……。)

 日向君は噴水の縁に座って居た。

 それも私の隣に。

 友達は、まだ来ていない。

 今日はクラスの何人かで水族館に行く筈だった。


 待ち合わせは駅前の噴水の前。

 待ち合わせ時間の10時はとうに過ぎていた。

 私は途方にくれるような気持ちになった。

 隣に座っている日向君は、先刻から物凄く怖い顔で携帯を睨みつけている。

 少し猫っ毛っぽい茶色の髪が彼の耳に掛る程に伸びていた。


 私は、待ち合わせ場所に来ていない人の事が急に心配になった。

 藍田さんと佐月さんの名前を出すと彼は無関心そうに、そしてかなり不機嫌に「さぁ……」とだけ言った。

 それも、もれなく溜め息を付きで。

 私は自分の身が竦(すく)むのを感じた。


(もう何も聞けない……。)

 私はそう思った。

 どうしていいか分からず、私は押し黙っていた。

 すると、日向君の携帯電話に着信が入ったようだった。

 日向君は私に、此処で待ってるようにと軽いジェスチャーをして、噴水から離れ、電話に出た。
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