晴れのち雨ときどき曇り

 私は、きょろきょろしながら周りを見回す。

 時折聞こえる日向君の声は、かなり怒っている。

 私はいよいよ怖くなって、その場から逃げたいと思った。

「……水族館に……だろ?」

 私は、たまに聞こえる言葉を拾う。

 どうやら、相手は今日のメンバーの筈の垣本君らしかった。

「……星野が……てる」

(わ、私?)

 いきなり自分の名前が出たので、私は思わず驚いてしまった。

「俺が……よ……!」

 一際大きな声で言う。


 日向君は怒っているようだった。


 それから直ぐに電話が切れたのか、彼は携帯電話をきっと睨みつけた。

 そして、私の方に戻ってきて何も言わず隣に座り、深い溜め息を吐く。


「日向君……?」


 私は、おそるおそる声をかけた。


 日向君の様子が、少しおかしい。


 彼は体を二つ折りにして、ぴくりとも動かない。


 私は心配になって、その顔色を覗き込もうとした時、彼の体がいきなりグラリと傾いた。


「え!?……ひ、日向君?」


 私は、彼の上体を支えようとして噴水の縁から急いで腰を上げた。
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