晴れのち雨ときどき曇り

「それ、止めてくれない」

 日向君は、ゆっくりと言った。

「それって、なんですか…?」

「ソレ。敬語」

「あ。……はい」

「いや、だから……」

「す、すみません……」

 私は、日向君につい敬語を使ってしまうらしい。

 今、何時かを聞き、私が12時過ぎだと答えると、彼は「じゃあ、まだ間に合うな……」と言った。

 私はよく分からずに「何に……?」と返す。

 敬語を使わないよう気を付けながら。

「水族館。行く予定だったろ」

 彼は、そう言って入館券をヒラヒラとチラつかせながら私を見る。

 私が彼の体調のことを聞きつつ躊躇していると、
「星野って…俺のこと苦手だろ」
 と聞いてきた。

「えっ…?そんな事ないよ…うん」

 私は、出来るだけの笑顔で言った。

 日向君は複雑な顔をしていた。


 折角だし、と日向君が言うので、私と彼は二人で水族館に行くことになった。

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