晴れのち雨ときどき曇り

「日向君」

 私は保健委員をしているので,体育をお休みしている人のチェックもしなくてはいけなかった。

 私は,思い切って声をかけたのだった。

「何?」

 ギロリ。

 日向君の鋭い視線が私を刺した気がした。


(ちょっと……怖い……かも……)


 保健室を勧めても,日向君の「ギロリ」は収まらない。

「……別に、いい」


 私は,田舎の大型犬を思い出した。


 茶色で大きな犬。


 名前はコーヘイ。


(あ……ちょっと似てる……)



そう思うと,今までの不安がスッと落ちていくような気持ちがした。



(そっか。日向君って,コーヘイに似てるんだ……)




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