晴れのち雨ときどき曇り
丁度、終りの時間に近付いていたので、私は思いきって2人に向かって言った。
「ホラ!閉めるんだって。帰ろ?」
女の子は嬉しそうに笑って、雨谷君の袖を引っ張る。
「……でも、傘」
「職員室に起き傘があるし、大丈夫だってば!」
私は自分の声に驚いた。
心の中が曇るみたいに、もやもやする。
どうにか2人を退室させて掃除用具を出す。
「帰りに職員室寄らなきゃ……」
私は、窓の向こうで降る雨を見つめながら溜め息まじりに呟いた。
「天川、ツイてないな。今日は傘借りてく奴が多くて、もう無いんだよ」
私は、担任の先生がの話を聞きながら呆然と傘立てを見下ろしていた。
「カッパならあるぞ?」
そう言いながら見せられたのは赤く「防災」と書かれた真っ黄色のカッパだった。
両親は共働きだから迎えに来て貰うことも出来ない。
「……貸してください……カッパ」