晴れのち雨ときどき曇り
「お、雨谷。お前、まだ残ってたのか?……っと、天川。ホラ、傘だ」

「傘はもう無いって……」

「職員ロッカーにあってな。間に合って良かった。気を付けて帰れよ」

「あ、有難う御座います」

私は、透明なビニール傘を受け取った。



「……」

私の手元には傘が1本ある。

そして、私はカッパを着ている。

先生は慌てていたのかカッパを回収していかなかった。

「……これ、使って」

私は雨谷君に傘を差し出した。

「昨日、貸して貰ったし」

「晴子ちゃんって、帰り道どっち?」

「……帰り道?……商店街の方だけど」

「同じだ。途中まで一緒に行こうよ。俺、傘持つし」

「い、いいよ。雨なら、防げるから……」

「駄目だよ。カッパ着てても寒いじゃん」

雨谷君は早い動きで靴を履いて傘をとると、私を促した。
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