晴れのち雨ときどき曇り

雨は、土砂降りではないにしろ雨足が強いように思えた。

傘の下の沈黙が訪れる度に、傘のビニールに水滴がバラバラと落ちる音が響く。

「何か俺、雨って落ち着くんだよね」

「……それは、分かる気がする」

雨の音や匂いは嫌いじゃない。

落ち着くと言うのも納得できる。

「それにしても、そのカッパ……凄いね」

「見せられた時に吹き出しそうになった……」

「防災の文字デカ過ぎ!」

「うん。しかも黄色に赤なんてオムライスかって言う……」

「オムライス〜!!」

雨谷君は笑いのツボに入ったのか、肩を揺らして笑った。

私もつられる様にして、笑っていた。

「晴子ちゃんのセンス最高だなぁ……オムライスか!」

普段なら勘に触ったかもしれない。

でも、今日は違う。

雨谷君は凄く楽しそうに笑っている。

私は、何だか楽しくなってしまって久しぶりに大笑いした。

その夜、私は、雨が降る夢の中で雨谷君とオムライスを食べる夢を見た。

私の身長よりも大きなオムライスを2人で端から食べていく夢。

結局、食べきれないで、そのままフワフワの卵の上で寝てしまったけれど。

黄色と赤色が私の夢に追加された。

< 17 / 121 >

この作品をシェア

pagetop