晴れのち雨ときどき曇り
雨は、土砂降りではないにしろ雨足が強いように思えた。
傘の下の沈黙が訪れる度に、傘のビニールに水滴がバラバラと落ちる音が響く。
「何か俺、雨って落ち着くんだよね」
「……それは、分かる気がする」
雨の音や匂いは嫌いじゃない。
落ち着くと言うのも納得できる。
「それにしても、そのカッパ……凄いね」
「見せられた時に吹き出しそうになった……」
「防災の文字デカ過ぎ!」
「うん。しかも黄色に赤なんてオムライスかって言う……」
「オムライス〜!!」
雨谷君は笑いのツボに入ったのか、肩を揺らして笑った。
私もつられる様にして、笑っていた。
「晴子ちゃんのセンス最高だなぁ……オムライスか!」
普段なら勘に触ったかもしれない。
でも、今日は違う。
雨谷君は凄く楽しそうに笑っている。
私は、何だか楽しくなってしまって久しぶりに大笑いした。
その夜、私は、雨が降る夢の中で雨谷君とオムライスを食べる夢を見た。
私の身長よりも大きなオムライスを2人で端から食べていく夢。
結局、食べきれないで、そのままフワフワの卵の上で寝てしまったけれど。
黄色と赤色が私の夢に追加された。