晴れのち雨ときどき曇り

私の夢には雨谷君が頻繁に出てくるようになった。

何処かに行こう、と言われて遊園地に行ったり、海を見たり。

不思議な事に今まで何もなかった夢の世界には、雨谷君が提案する様な場所が出てきたり、色鮮やかな色彩で彩られていたりもした。

でも、私は自分に言い聞かせる事にしている。


(これは、夢。)

楽しいのも、雨谷君が私に笑いかけてくれるのも全て夢だから。

現実の私は、人と接するのが苦手な扱いにくい人間だから、雨谷君が私と居ても楽しくないだろうと思う。

あの明るさも、笑顔も、全て私がないものだから。

きっと私は雨谷君を避けるために、苦手意識を持って、雨谷君を遠ざけていたんだと思う。

雨谷君を知れば知る程、違いを突きつけられる気がして怖かった。

私は雨谷君の太陽みたいな優しさが居心地悪かった。

一緒に居たら変な事を言ってしまいそうだし、いつもの自分じゃない気がした。



「今日は何処行きたい?」

夢の中の雨谷君は、本当に優しい。

「……何処でも」

その、真っ過ぐな笑顔を直視出来ずに、つい目を反らしてしまう。

夢の中でも現実でも、それだけは変わらない。
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