晴れのち雨ときどき曇り

私は、放課後の図書室で雨谷君の貸し出しカードを眺めている。

記入欄には本のタイトルが書かれてある。

この図書室で最後の夢関連の本のタイトルだ。

私は、そのカードを凝視する。

規則正しく返却されていた筈なのに、最後だけ返却期限を1週間も過ぎてる。

雨谷君が来て、雨が降っても大丈夫なように図書室には置き傘までしてるのに。

本来ならば、図書委員が催促状を書いて返却延滞者に渡さなければいけない。

出席番号が近いので、座席もそう遠くない筈なのに、私は教室で雨谷君に話しかけることができない。

いつも周りに人がいるし、気が引けるから。



「晴子ちゃん!」

勿論、私の名前を呼びながら手を激しく振りながら走ってくるのは、夢の中での雨谷君だ。

「今日は?行きたいとこある?」

「その前に、お願いがあるんだけど」

「お願い?晴子ちゃんが俺に?」

「うん」

雨谷君は、ぱぁあっと顔を明るくしている。
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