晴れのち雨ときどき曇り
「そんなの初めてだね!何?」

「夢って分かってるけど、一応言っとく……」

私は、息を大きく吸う。

雨で湿った空気が頬を撫でるのが感じられる。

「……あの本、返却期限過ぎてるよ?」

「あー、ゴメン……」

そう言って、雨谷君は頭を掻く。

それは彼の癖らしかった。

「……どうして?」

前までなら雨谷君がいい加減な人だと片付けてしまっていただろう。

でも、今は違う。

何か理由があるのだと思う。

確証はないけれど、直感的にそう思った。
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